結局のところ、歯医者ほど個人的な営みはなく、歯ほど個人的な持ち物もないということである。自分の生き方にぴったり合った歯医者さんと出会うことができた人は、本当に幸いなのである。

福岡伸一 「ルリボシカミキリの青」 文芸春秋 2010  より

 

 

人間の幸福って、いろんなところで感じられるけれど、それがいちばんストレートに感覚として感じられるのは、口なんです。
人間が生きる局面では、たいてい口が重要な役割を果たしています。人間の生きる喜びというのも、みんな口に現れるんです。おいしい物を食べる喜びやおいしい物を飲む喜び、人とおしゃべりをする喜び、それから泣いたりわめいたりする感情表現も。

鷲田清一 「くじけそうなときの臨床哲学クリニック」 筑摩書房 2011より